あの素晴らしきキワモノ 大金を投じたイベントから生まれることはない発想! 月本裕(作家)・・・2

あの素晴らしきキワモノ 大金を投じたイベントから生まれることはない発想! 月本裕(作家):SPA!(1991.11/27)より

人間とサルのあいのこという触れ込みの、オリバー君を呼んだ時には、そのあまりの怪しさが物議をかもした。ボクはいくらなんでもアンタ、これはね~と苦笑したものだった。それでも、生物の種の問題の根幹に触れた、興昧深いサワギではあった。

戦後最大の問題作、謎の作家・沼正三のSM小説『家畜人ヤプー』をプロデュースした時は、その過激な皇室描写に右翼からの抗議を受けた。実現はしなかったが、一番スゴイのは猪木 VS ウガンダの「人喰い」アミン大統領の闘いという神をも恐れぬ企画も、契約をかわすところまでもっていった。これはアミンがクーデターで追い落とされたためで、実に惜しいところだったという。

現在は、「ノアの箱舟」国際調査委員会の全権プロデューサーとして、イラク北部での発掘調査に意欲を燃やしている。フセインがあんなに戦争好きでなければ、とっくに実現していた話であるが。

『家畜入ヤプー」は続編と完結編がこの秋から冬にかけて続々と出版される。いずれにしても彼は自信満々である。実際、現在のイベントクリエーターと称する連中の発想のなんと貧困で退屈で、ぬるま湯のように安全なことか。プロデューサーのスグレもの、康芳夫を超えるパーソナリティは、しばらく出てきそうもない。

・・・了