康芳夫×谷川貞治 対談・・・3

康芳夫×谷川貞治 対談【月刊キング(2007年11月 NO.14 より)】

康芳夫×谷川貞治 対談【月刊キング(2007年11月 NO.14 より)】

成功を手にするための運命を手繰り寄せる方法

康 「当時の国士舘大学に空手の師範で山元(守)君という人がいてね、ハイチに連れていったんですよ。実際に虎を見たらブルったね」

谷川 「そりゃそうですよ(笑)!」

康 「虎を東京からパリ、そこからさらにハイチまで運んだんです。そしたら虎はね、もう怒り狂ってるわけだよ、30時間も飛行機に乗せられて。現地に着いた途端、凍らせたチキン1羽を一口で食べるわ、バケツで水を何杯も飲むわ、向かっていったドーベルマンなんて、軽く爪で顔の皮を剥がされたからね」

谷川 「その空手家が、死ぬことは想定しなかったんですか?」

康 「まあ、保険にも入ったし(笑)。というのは冗談だけど、ハイチ政府の命令で狙撃兵をつけたりもしたんですよ。でも結局、国際的世論の反対が厳しくなって政府から中止された。山元君もね、土俵際でうまいこと言うんですよ。『虎がかわいそうだから戦えない』だってさ。『名言』じゃなくて『迷言』だよ(笑)」

谷川 「虎もアミン大統領も、突拍子のない発想を実現するには、誰と関わるかが大事ですよね?どうやって付き合うべき人か否かを見分けるんですか?」

康 「いや『見分ける』能力じゃなく、いろんな場所に入る『かき分ける』度胸が必要なんです」

谷川 「知り合いが増えれば、さらにその知り合いに繋がって、成功の糸を手繰り寄せる可能性が高くなりますよね」

康 「僕は神を信じないけど、人生の中で『運命』を引き寄せることは多々あったと思います」

谷川 「優秀なプロデューサーというのは、人もそうだし、情報や金も引き寄せるエネルギーや能力が高くないといけない」

康 「あとは考えすぎないこと。どれだけ計算しても、あるところから先は分からなくなるんです。どこまでが本当で、どこまで虚か。『虚実皮膜の間』といって、そこにこそロマンがあるし、面白いんだと思います」

・・・次号更新に続く