拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」:Fukujin N0.11 2006

拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」・・・6

拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」:Fukujin N0.11 2006

櫻木 フィクションなのはよくわかるんですけど、東大のときに目をつけて引っ張り出すじゃないですか。

康 何を?

櫻木 金のにおいを。

康 それはサブスタンシャルニーズとしてね。単なる生活技術みたいなもんだよ。大した問題じゃない。

南 僕が飲んでいると康さんが入ってきた。新宿二丁目の小さい店に。みんなざわざわ喋っていたのに、康さんを一斉に見るんですよ。カウンターの、俺の隣の席がたまたま開いてて「ここしか開いてないの?」って。俺、すごく怖かった。で、冗談みたいに巨額な金の話をするわけですよ。俺にはなんの実感もない金額の話をしてて、それもおもしろいんだけど、昨日の麻雀の話をすると妙に具体的なんですよ。フィフクショナルの金と飯を食っていくためにちょこちょこ稼ぐ金は別なんだよね。

康 記号って考え方はありますよ。僕が今までやってきた仕事のなかで、ファンドと言うとオーバーだけどボクシングとかトラ対人間格闘技とか、ネッシーも含めてお金を出す人がいるわけじゃない。アングラマネーといってもいいけど、フィクションの金を出す人たちからは散々吸い上げてきている。かっぱらうというか。僕はそういう金がどこにあるか匂いでわかってるから。

秋山 スケールのでかい、手が込んだもので、ここで話せる話はありますか?

康 オイルマネーだってもちろんそうですね。これも一種のアングラマネーだ。

末井 つながりというか何かあるんですか?

康 ひとつのヒントとして言うと、村上ファンドとかあるじゃない。村上自体、この金がどこから来てるのか半分くらいわからないわけですよ。意味、わかります?形式上リーガルマネーであれば構わないわけ。それが洗って洗って元を辿れば、北朝鮮のガキ将軍かもしれないし、パチンコ業界の脱税マネーかもしれない、某宗教団体の金かもしれない。

そして勿論、中東のオイルマネー。でも彼はそんなことに関心ないんですよ。合法的ファンドであればまったく問題ないとする。2回ロンダリングされたら国税庁でも手が出ない。アメリカ財務省が全世界に六〇〇人くらいの特別捜査員を派遣して調べているわけだけど、2回洗われたら手も足も出ない。出してる方もね、北朝鮮のガキ将軍を始めとして、いろんなファンドに委託してるわけですよ。奴の金が阪神球団買収資金に回ってるかもしれない。それは本人にもわからないんですよ。それくらいグローバル投機市場は複雑怪奇なフィクションになってるの。贋金をお互いに交換しているだけなんだ。マフィアも某宗教団体も(日本だけじゃなくバチカンも含めて)、ファンドマネーがどこに行ってるかなんてわからない。というか、関心がない。保障があればいいわけだから。

・・・以上、拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」:Fukujin N0.11 2006 より抜粋

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