『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著) 精神科医 川尻徹

滅亡のシナリオ(2)

いまも着々と進む1999年への道

これが、”麻原オウム”幹部必読の教科書だ!

1章 いま明かされる”ノストラダムス計画”
---第二次世界大戦は”ヒトラーの第四帝国”建設への布石だった!

◆送られてきた”精神科医”の不思議な論文

「ヒトラーについて、ユニークな研究をすすめている精神科医がいるんだが・・・・・・」

そう言って、川尻徹(かわじりとおる)医学博士のことを『週刊プレイボーイ』記者の中田信一郎(なかたしんいちろう)に教えてくれたのは、彼の情報源のひとり、K・H氏なる人物である。

編集者をやっていると、世に隠れた不思議な人間と知り合うものだが、K・H氏もその一人だ。年齢は三〇代後半。さる総合病院の経営者であるが、やたらに顔が広く、趣味も狩猟、銃器、車に始まり、犯罪学から宗教学の研究まで多彩を極めている。話していても話題に尽きることがなく、教えられることも多い。中田としては実に貴重な存在であった。

「精神科の医者がヒトラーを研究するというと、やはり精神病理学的な面から分析しているわけですか?」

中田が質問すると、K・H氏はしばし言いよどんだ。

「それがね、ちょっと一般の人間には、荒唐無稽(こうとうむけい)と思われるかもしれないんだが・・・・・・。実は”ヒトラーはノストラダムスの予言に従って第二次世界大戦を遂行した”という説を立てて、その証明に取り組んでいるんだよ」

中田は驚いた。戦後、ヒトラーについてなされた研究は無数といってよいほどある。ヒトラーと異教、秘教の関係を研究した書も多い。しかし、予言者ノストラダムスと関連づけた研究は少ない。なるほど荒唐無稽、SF的な話であるが、中田のアンテナは敏感に何かを察知した。

「もう少し詳しく知りたいですね」

「興味ある?じゃ、ぼくの所に、彼から送られた論文があるから、それを送ってあげよう」

聞けば、川尻博士は東京郊外の著名な精神病院の院長であるという。同じ病院経営者としてK・H氏とはかねてから親交があるらしい。

---数日後、約束どおり中田のもとに、川尻博士の原稿が入った包みが送られてきた。

原稿といったが、大部分はきれいにタイプ印刷されて論文の体裁を整えていたものだ。しかも、中田が思っていたより分厚く、ゆうに二〇〇ページを超えている。それを見ただけで、単なる趣味の研究家が暇にまかせて書きあげたものではないことが分かる。

『第三帝国のたそがれ---最終段階でのヒトラーを中心とした文献よりの推理、および精神神経学的接近と判断』、これが、論文のタイトルだった。ページを繰(く)ってみると、いたるところに資料から複写されたらしいヒトラーやいろいろな人物の写真、地図、図版などが何枚となく貼られていた。そして、数ページごとに聖書からの引用も添付されている。

(すごいな、この熱意は・・・・・・)

その原稿からは、何か執念のようなものがメラメラと立ちのぼるようで、中田は不気味なものさえ覚えたことだった。

・・・・・・・・・次号更新【奇妙な組合わせ---ヒトラーとノストラダムス】に続く

バックナンバー:滅亡のシナリオ