思い起こせば40数年前、小生が極東において
初めてモハメッド・アリを招聘し、ヘビー級ボクシング・タイトルマッチを実現した。
これは、その4年後のアリvs猪木戦に連なることになる。
これに前後して、インディ500、石原慎太郎を総隊長とするネス湖探検隊、ヒトかサルかで満天下を騒然とせしめたかのオリバー君招聘などが実現のはこびとなった次第だが、正に往事渺茫(おうじびょうぼう)、夢か現(うつ)つか定やかざる間に時はあっという間に過ぎ去っていった。
一方では小生のライフワークとして、これも40数年前、謎の作者・沼正三の全権代理人として出版した「家畜人ヤプー」の存在がある。現在幻冬舎アウトロー文庫から全5巻、辰巳出版から石ノ森章太郎作の劇画「家畜人ヤプー」の電子版が出版されている。
【『劇画家畜人ヤプー』電子書籍解禁】
そしてまた一方では、余齢77歳にして、新人俳優として銀幕デビューするに相成った。今までも、幾夜もを共に飲み明かした勝(新太郎)ちゃんをはじめ、大島渚、若松孝二、久世光彦などから再三の誘いがあったが、種々の事情で断り続けてきた。だがまさか、この期に及んで中島(哲也)監督(「下妻物語」、「告白」他)の要請による、映画「渇き。」に、新人俳優としてデビューすることになるとは思いもよらなかった。思い返せば小生の人生も、それなりにドラマティックな展開をしてきたものだ。
【映画『渇き。』】
そんな俳優デビューもあってか、身辺が慌ただしくなってきた。
それは例えば、凡百のマンネリ化した人生相談・人生論等に飽き飽きした人々。そして、小生との何らかのコミュニケーションを切望する人々の声でもある。かかる状況下において、然るべき決断とともに、その要望に応えるべくHP(https://yapou.club/)を開設する。
そしてまた、併設するかたちで「家畜人ヤプー」をネット展開する。
それは、現在「家畜人ヤプー」映画化へ向けての作業(監督は先月、モスクワ国際映画祭グランプリ受賞の「私の男」、熊切和嘉氏。「キネマ旬報」9月上旬号に詳述が進行中であり、連結作業として、小説「家畜人ヤプー」数十万の愛読者による文学的研究成果の発表、交換等に関するネット・コミュニケーションの刺激的な場となるはずだ。
そもそもは三島由紀夫によって発掘、現在仏語、中国語に翻訳され(英語版は近日発売予定)、国際的にも改めて大きな反響を巻き起こしつつある。それは本作が日本歴史、古事記等に対するパロディであると同時に、例えば「白人帝国主義への徹底的な反発だ」と個々の読者が原作者の意図を超えそれぞれに解釈できる圧倒的ユニークさが、現代という時代と必然的に呼応しているからに他ならない。
以上を踏まえて、満天下の諸氏の要望及び期待を裏切ることのない「康芳夫」及び「家畜人ヤプー」HPをここに開設するものとする。
2014年9月11日
康芳夫