康芳夫

康芳夫、澁澤龍彦を語る(5)

澁澤と三島はとても親しかった。澁澤美学と三島美学はちょっと違うんだけど、両者お互いにインタラクトというか、フィードバックし合っていた。彼は東大仏文科が生んだ、一つの奇形児ではあるよね。決して正統派ではなく、大学もほとんど行っていなかったし、脇に外れた、言わば東大仏文科劣等生ですよ。でも、自分でああいう世界をつくって、受け売りという言葉は彼には失礼だけど、元ネタが全部ヨーロッパにあって、それが彼が元々持っていた嗜好と一致したっていうこともあるだろうけど、独特の美学及びディレッタンディズムと、何と言うか、趣味性の強い男だった。

あれ以来ああいう人は何人かでてるけれど、東大仏文科が生んだ最初の奇型ディレッタントであるし、かつ、変種だな。突然変異みたいな。今も澁澤の本が昔程読まれているということはないけど、根強い人気はあるね。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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