康芳夫

虚人(康芳夫)、虚人(康芳夫)を語る(9)

だから、実際に極限までいってしまった三島と、生き延びてテレビ評論家になって、流行作家になった娘のマネージャーをやってる吉本のどっちをとるかって問題になってくるよね。

僕はそれは、三島対吉本だったら、もちろん三島の方が立派だと思っています。それがオウムにいっちゃった連中と市民社会となると、どちらが立派というよりも、そこのところは究めて難しい問題で答えはまだ出てないんだけど、彼等はマージナルライン、つまり境界を超えちゃったわけですね。

麻原の言ってることは一種の邪教なんだけど、それはたまたまこっちの考えで、彼等はそれが正しいと思ったかもしれない。たまたま境界でウロウロしていたところを麻原君が手を引っ張ったかもしれない。自分から入っていったかもしれない。わからない。

それはね、結果的に麻原君は邪教だったとしても、麻原君の責任は問われても、必ずしも入った連中の責任が問われることはないと思う。そのマージナルラインを破って入っていくというのは、その境界線にたまたまいた麻原が手を引っ張ったかもしれない。そのさらに先に行けばもっとすごいのがいたかどうか。それはいなかったわけで、そこで彼等も破滅しちゃった。

でもそれさえも市民社会の現実からみて破滅しただけで、それが本当の意味での破滅かどうかはわからないんだよ。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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