罰あたりパラダイス:福田和也(文)・・・3
「でも、町田さんの凄さっていうのは、やっぱり遊びってことがよくわかってるって事ですよね」とオレが話をそらした。町田さんは、小説集と相前後して出したエッセイ集『へらへらぼっちゃん』の中で、遊び続けることの困難を書いておられる。
「毎日勤勉に働いている市民が遊ぶのと、僕らみたいに毎日遊んでる人間が遊ぶのはまったく意味が違いますからね」とオレが君うと編集イキが助手席から突っ込みを入れた。
「先生、一応大学の教師なのにそういう事言っていいんですか」
「ウルセー、下らない合いの手入れるな、オレは遊びで大学行ってるんだよ。でも、康さん、何もしないで遊び続けるのが、大事ですよね」
「そうだねえ。本当に遊ぶのはシンドイねぇ。僕は毎日、毎日、祇園とか通ってね、もう毎日、毎日ウマイもの食べてさ、きれいな女を抱いてね、もう何も面白くない、楽しくないんだけれど、それでもね、やり続けるんだね、ウン、それが修行ですよ」
・・・次号更新に続く