康芳夫

康芳夫、澁澤龍彦を語る(4)

それで結局編集長は澁澤が選んできた人間に落ちついて、澁澤としては作業のしやすい環境ができて良かった。だけど立花君は言ってみればクビになったわけだから、後味のいい話ではなかったね。

澁澤の『血と薔薇』にかける意気込みは相当なものでした。ただ、僕たちの考え方の違いとかその他色んなことがあって3号で降りちゃった。それで4号目で平岡正明を責任編集兼編集長にして、そこにヤプーを載せた。

この間平岡が死んでね、大きな葬儀で若松孝二君とかみんな来ましたよ。当時平岡はすでに色んな本も書いてたしね、ある意味ではすでに有名人だった。澁澤にしてみたら、ヤプーが自分と入れ替わりに掲載されたというのはきわめて複雑な心境だったでしょう。僕との関係も『血と薔薇』の一件以来微妙なことになっちゃって、絶交状態というか、会うには会ってたけど、そのうちに死んじゃったしね。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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