最後のフィクサー怪人・川内康範!:康芳夫が語る夜の紳士録(4)
---あと最後に、いま何かと話題になっている川内康範さんについてもお聞きしたいんですね。川内さんは芸能界から政界にまで影響力があった人ですから。
康 川内康範さんはもともと凄い才能に恵まれた詩人で、彼の才能を持ってすれば作詞なんて遊びみたいなものですよ。『おふくろさん』だけじゃなくて、『港町ブルース』『花と蝶』なんかも大ヒット作でしたからね。稲川会の歌も彼が作ったんですよ(笑)。
---え、それは組の歌ということですか!?
康 そうですよ。その一方で警視庁機動隊の歌も彼が作ったと。両方を作ってるんですよ(笑)。だから、芸能事務所も歌手も彼には頭が上がらない。あるテレビ局の社長が僕の前で怒鳴られたこともあるし、編成局長や部長レベルなんかはみんな彼の前では直立不動でしたからね。
---まさに芸能界のドン(笑)。
康 顔役でしたね、政界も含めて。僕が石原都知事を隊長にしてネッシー探検隊を企画した時には、当時自民党幹事長だった福田赳夫先生を紹介してくれたのも川内さんだったんですよ。先生には資金的にもスポンサーをいろいろ紹介していただき大変お世話になった。
---歴代の首相の顧問もし、中曽根内閣誕生の立て役者であったという話もありますが。
康 それは事実かどうかはわからないけど、歴代首相とサシで会えるホットラインがあったっていうのは事実です。故竹下総理とは非常に親しかった。大変なものですよ、彼の当時の影響力っていうのは。
---でも、作詞家なんですよね。『月光仮面』の作者でもあり、その辺のギャップというか、振り幅の広さがただ事じゃないなと。
康 だから、今度の森進一の事件なんてちっちゃい話です。いま彼はやることがないから、イチャモンつけてやってるけど、本来の彼を知ってる人たちは、なんであんなことで騒ぐのかなって思っている人もいるでしょう(笑)。
---やっぱり昭和の男たちは偉大な怪人が多かったんですね、康さんも含めて。
康 いやいや、僕は暇つぶしで生きてきただけですから。興行も革命も全部暇つぶし。そのうちみんなお迎えが来るんだから(笑)。
・・・了