康芳夫

虚人(康芳夫)、虚人(康芳夫)を語る(12)

日本人で天を恐れなかった思想家というと、北一輝とかね。三島はオレの顔を見て「北一輝にそっくりだ」と、そういうことを言ったことがある。彼は北一輝が大嫌いなの。天皇に入れ替わろうとして、まさに天をも恐れなかったわけだから。それは僕にとっては誉め言葉ですね。

北一輝は天を恐れず、最後殺される時に「ああ、やられちゃったよ」って死んじゃって、日本人としては究めて珍しいタイプ。

アナーキーだし、本当の個人的な主体主義者だよね。体制側から見れば危険極まりなくて、だから殺されたわけ。彼が首謀者として、2・26事件で青年将校を煽ったわけでしょう。天皇陛下が一番恐れたのが北一輝。「どうせオレのことを道具としてしか考えてない」って、天皇陛下はよくわかってたわけ。彼もそれほど馬鹿じゃないから。

人間というものは、「宇宙の創造主」という言葉は使っちゃいけないけど、「天の配剤」という言葉も非常に奇妙な言葉なんだけど、その「天の配剤」によって生まれた一つの生物に過ぎないわけ。いずれ必ず滅びる。

何百光年先に新しい生物がいて、それがもう地球に到達してるかもしれない。それだってわからないよ。何百光年として、地球に届くまで何千年かかるのか。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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