まだ生きてたのか・・・・・・康氏は、最新のオリバー君の写真を感慨深げに見つめていた
インタビューが終わりに近くなった頃、筆者が撮影してきたオリバー君の写真を見せると、康氏は「まだ生きてるっていう電話をもらって、びっくりしたよ。しかし、あなたもすごいね。わざわざ会いに行くなんて」と言ってくれた。えらく嬉しくなった。
オリバーは、康氏が手がけた仕事の中でも興行的に成功し、そして、かなり異色なものだったという。プロモーターとしてのキャリアの中でも、ベスト3に入るかもしれない。「でもね、オリバーの正体は、いまでもわからないんだよ」オリバーもわからないが、”わからなさ”という尺度で考えれば、康芳夫氏も決して引けを取らない。人からは”伝説のプロモーター”と呼ばれ、自ら”虚実家”を名乗る。別れ際、「まあ、書きたいように書いてくださいよ。面白おかしくね」と言われた。強く残ったのは、すべてが自分の好奇心から始まったという事実だ。それに、オリバー来日を「情熱を持って実現させた」と語っていた。このひと言で、それまで自分の中で伝説という言葉でしか形容できなかったイメージに、血と肉が付いたような気がした。ロビーに出て写真を撮影した後、康氏は、その語り口とまったく同じ瓢々とした足取りで去っていった。
・・・了