虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

本間興業にしてやられる(1)

神の「赤い呼び屋」としての成功話が日本全国に知れわたると、当然、その利権を狙って動きだす連中が現れる。この世界は食うか食われるかの弱肉強食の法則がまかりとおっている。生き残れるのは「食われる前に相手を倒した」人間だけだ。

神と我々アートフレンドアソシエーションは前に述べたように、ボリショイサーカスの成功をきっかけに、北京曲技団や京劇などの中国ものにも手を広げていった。しかし、ある意味でそれが裏目に出てしまった。

ボリショイサーカスをはじめた呼んだ一年後の昭和三四年九月、中国を訪れた当時のソ連第一書記兼首相のフルシチョフは、予定されていた中ソ共同宣言を発表しないで帰国した。これを機に一気に中国とソ連の対立が表面化しはじめたのだ。そしてそれ以降、ソ連と中国の溝は深まっていく。

そんな国際政治が微妙に揺れ動く時代の流れを敏感に嗅ぎとり、ボリショイサーカスの利権を狙って動きだしたのが、北海道・旭川の有名な興行師、「本間誠一」だった。本業はヤクザだがさまざまなイベントや音楽ショーなどの興行でも「本間興業」という会社で地元北海道を仕切っていた。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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