右翼、暴力団の援助を拒否
もう一つ、一週間後の十七日になって妙な事件が発生した。
神さんが、赤坂東急ホテルに新聞記者を集め、
「クレイ戦は無効。日本でのクレイ戦の優先権はこちらにある」
と発表したのだ。
すでに、アメリカでクレイを告訴し、敗訴していた神さんが、また、ここで乗り出してくるとは。
実をいうと、クレイ告訴の時点で私は神さんに、ある人物を通じて、和解を申し入れたことがある。その人物は神さんとも親しく、いろいろと骨を折ってくれた。私はクレイをCMに引っ張り出す権利を認めてもいいというところまで譲歩していた。しかし神さんはあくまでクレイの興行はオレがやるんだといって譲らない。私はアキれ果て、それ以来、彼の動きは無視することにしていた。そこへこの突然の発表である。
「どういうつもりなんだ、営業妨害だ・・・・・・」
日米の弁護士まで同席しての、ものものしい記者会見だったそうだが、最終的には、何の障害にもならなかった。
そんなこんながあって、資金造りは私の予想していたほどスムーズにはいかなかった。
予定していた、ある財界人が小豆相場で失敗し、資金どころでなくなったのがつまずきの初めだった。
広告代理店を通しての話も”新聞記事”のためか、どうも、相手が乗ってこないのだ。
私が金に困っているのを聞きつけて、暴力団関係者が協力を申し込んできたこともある。そいつは、こちらがOKもしないのに勝手に自分が金を出すことに決まったように吹聴して回ったため、警視庁の刑事が事情を聞きに私の事務所にやって来た。
「ああいう連中の資金源になりますから注意してください」
右翼のさる大物、名前を聞けば誰でも知っている人物からも、人を介して、
「援助してもいい」
と話があった。
だが、私は暴力団にも右翼にもこの興行を渡す気はなかった。私の夢が汚されるような気がしたからである。
・・・・・・次号更新【肥田彬氏との出会い】に続く
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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。
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