ニッポン最後の怪人・康芳夫

康芳夫、澁澤龍彦を語る(2)

オリジナルは全部向こうにあるんだもん。三島だって根元の教養はヨーロッパにあると言えばそれまでだけど、でも三島はそこに「日本及び日本人」として独自のものを付け加えたから。

『家畜人ヤプー』が『血と薔薇』に掲載される直前まで、彼には責任編集をやってもらっていた。編集長には立花隆君をもってこようと思ったんだ。彼は文春をやめて一人立ちしてすでに非常に優秀な編集者だったし、澁澤に対しても色々意見が言えたから。

立花君は僕が経営していた天声出版にほんの少し席をおいて、その後しばらくして例の田中角栄スキャンダル問題がおきて、一躍たいへんなことになるわけだけど、政治家のスキャンダルなんて彼にとっては単なる食い扶持で、お金のためにやったことなわけ。結果的に田中問題で市民社会の交通巡査としてのレッテルをはられることになるわけだけど、本来の彼はアナーキストだった。今や彼は、日本の代表的な「知の巨人」というレッテルを貼られているけれど。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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