夢みるよりは夢みせることリアルと夢は紙一重なのだ:康芳夫 プロモーター
ホラ吹き、怪入、ペテン師・・・・・・彼を形容するこの種の言葉は数知れない。
康芳夫は「アントニオ猪木VSモハメド・アリの血闘」「ネッシー探検隊」等の企画を実現させた興業師。最近では、ロス五輪のテレビ放映権をめぐり暗躍するなど、なにかと話題のたえないヒトだが、こんどは「ノアの箱舟」探しに挑戦!というから、ぶっとんでいる。
だいたい「ノアの箱舟」って伝説じゃなかったの?
「そうとは限りません。シュリーマンのトロイの遺跡だって実在したでしょう」
箱舟の漂着地はアララト山という通説を否定。世界最古の叙事詩(ギルガメシュ叙事詩)の記述に注目し、ニシル山こそ真の漂着地とする大胆な仮説にもとづいて発掘に乗り出すという。約5億円の調査費は日本のコンピューター会社が負担。最高顧問には「月面上で神の臨在を感じた」と言って伝道生活に入ってしまった、元宇宙飛行士を迎えた。
かなりマジなのである。が、荒唐無稽なものを”夢”というなら、これほど、この言葉にぴったりのことをしでかす男もあるまい。
だが・・・・・・。夢みせる人が夢みる人とは限らない。彼の場合、興業師という職業柄、実は”非常のリアリスト”である可能性も強い。
「人に夢を”売る”のが興業であることはたしかですが、『ネッシー』や今度の『箱舟』探しは興業的な興味でやっているわけではなく、純粋な夢の部分だけです」
ずいぶんおカネのかかる夢なんですね。
「夢が大きいほど、カネがかかるんですよ」
リアルと夢は紙一重。夢は野心に裏打ちされて、現実となるのだ。