<薔薇画廊>ハンス・ベルメール・・・解説 桑原住雄(1)
テクノロジーと芸術の結合という名の下でテクノロジーに対して媚態をさらけつづける美術の氾濫は、ここに言うまでもなく、科学技術に対する美術の敗北を或る意味で明確に物語っている。美術が”現代”であろうとする限り、テクノロジーの庇護を受けなければ現代美術として成立しないとすれば、現代美術は科学技術への従属関係の中に完全に組みこまれた、いわばテクノロジーの末端産物と言うほかはない。現代美術の中の最も現代的な部分、尖端的な部分がテクノロジーの排泄物によって飼育されることによって、かろうじて生きつづけていることの奇妙な光景を、ぼくたちは連日の如く見せつけられている。美術がコンセプションの袋小路に追いこまれて働く、この悲惨な情況を正視するに耐えないと言ったら、大袈裟に過ぎるだろうか。
・・・次号更新に続く