言論王 島田雅彦:康芳夫 対談(1)
今回のテーマ・猪木VSアリの対決、ネッシー探索など、数々の話題を提供し、プロモーターの世界にこの人ありと呼ばれる康芳夫。今、幻のノアの箱舟の発掘調査という大プロジェクトを動かすこの男に言論王が迫る!題して「人を動かす力=プロモーターの光と陰」について
島田(以下、島と略) 康さんの名を高からしめたのは、なんといってもモハメド・アリと猪木の世紀の対決。あれのプロモートでしょう。実現はしなかったけどアリをレフェリーにしてウガンダのアミン大統領と猪木の対決っていうのもありましたね。
康 契約済みだったけど、アミンが逃げちやったからね(笑)
島 プロモーターについて、読者に分かりやすく教えるとどういうことになりますか。
康 職業自体は、バブルはバブルだね。シャボン玉というか。
島 バブルって言ってもそこらへんの証券マンとは年季の入り方がちがいますね。筋金入りのバブルでしょ。元になるものが全く何も無いんだから。
康 足場は何も無いですね。あるのは、ハッタリとか、男度胸とか(笑)。神彰(じん・あきら)って男がいてね。株の投機師、今でいうバブル経済の先駆者です。僕はこの人のこと面白いと思ってね。互いに切瑳琢磨しようという野心で彼のところへ行ったわけです。当時、ボリショイ・サーカスね。日ソ国交回復時の話ですけど、これをソビエトから持ってきた。政治的に大変な問題があったわけですけど、国交的な外交関係を含めて、強引に持ってきてやっちゃったなんてことをしてました。まだまだ神彰が風雲児と言われるゆえんですけどね。僕が大学を出た頃はちょうど安保で、世の中が騒然としてまして、その中で一番僕の生理的欲求を満たす世界がプロモーターの仕事だったんですね。
・・・次号更新に続く