康芳夫

世界にこれだけの富の偏在があるうちは、問題はまた繰り返されます

『ビオクラシー 福島に、すでにある』より小生インタビュー抜粋

―今も福島では、普通に人々が生活しています。

康 住んでる人たちは、まさに事故の犠牲者です。原発や事故で利益を得てた人間がいるって言っても、それはごく一部の話。市民が事故後、政府から十分な配慮を受けたかと言えば、本来受けるべき半分かそれ以下しか受けていない。

この問題の解決策は現代にはありません。太陽光だってコストを含めてまだ未熟だし、そんなことをやってる間に中国やインドで第2、第3の事故がまた起きます。福島は天災だったけど、操作ミスによる人災の事故が起きる。だってあまりにもずさんな管理をしてるんだから、それはある意味、人類が受けるべき天罰なんだよ。

―わかっていてもやめられないのが、私たち人間であると。

康 人間の業と言うかね。中国はそれくらいの事故でも起きないと目が覚めないし、日本だって目は覚めているが、どうしようもない。そこに関しては今、ベストを尽くして天命を待つ以外、できることがない。

だって福島の事故は世界中の学者にとっても予想外の事態で、反対論者を含めて、あんなことを予想できた人間は専門家でも誰もいなかった。それでも原発を止めるわけにはいかないし、すでにあるものを国際的に管理するってことは考えられるかもしれないが、現実的にはそれだって難しいでしょう。

―結局人間には破滅が待っている?

康 天の制裁と破滅、両方でしょう。でも人類は、原発くらいじゃそう簡単には破滅しないよ。するとしたら核戦争だけど、北朝鮮やイランだって、本気だったらとっくにやっています。むしろ本当にやったら大したもの(笑)。それはISにしたってそう。

北朝鮮のガキ将軍以下、そんな「蛮勇」は世界中にいないから、当分は大丈夫。人間は最終的には、自分が「生き延びること」を考えてる生き物だから。

―誰もが結局は自らの存命だけ考えている中では、社会の本当の変革は難しいかもしれません。

康 そこは言ってしまえばヒットラーやスターリン、麻原にISも、どうでもいい水泡みたいなものなんだよ。

重要なのは、それらを生んだ状況、それがISなら何が彼らを生んだのか、その基底に何があるかを理解しなくちゃならないということ。世界にこれだけの富の偏在があるうちは、問題はまた繰り返されます。

国際石油資本やアラブ産油国、欧米のごく一部の富裕層も、「多少」の「富」を「虐げられた人々」にキックバックしてあげるという「慈悲心」をもう少し大きく持たないと、大変なことになりますよ。

・・・以上、『ビオクラシー 福島に、すでにある』より抜粋