電通によって組織化されロマンをなくした興行界

暗黒プロデューサー・康芳夫が語る(サイゾー June 2007 より)

暗黒プロデューサー・康芳夫が語る(サイゾー June 2007 より)

---興行の世界ではライバルともいえる電通と康さんの関係は?

康 つかず離れず、今でもお互い利益があれば仕事するって関係ですね。昨日の仲間は今日の敵ってことです。でも興行も重要なビジネスである電通にとっては、個人に利権をかき回されるのは非常に好ましからざることだろうね。

---巨大な代理店に拮抗する力を個人で持つというのは、どういう感覚なんでしょう?

康 言えないことはいっぱいあるけど、巨大な企業を出し抜くっていうことは大変ですよ。五輪の件では、僕の弁護士と組織委員長がたまたまつながっていたから先手を打てたけど、相手は電通ですからね。でも僕は、出し抜いて生きていくしかない。僕が興行の仕事から表向き手を引いた大きな理由は、電通が音楽でもスポーツでも押さえ込んじゃったから。この世界にロマンがなくなったというか、ひとりの度胸で大きな興行をやれる世界じゃなくなったね。モハメド・アリを呼んだ頃はまだ個人の力でできたけど、その後から急激に興行が組織化されていった。大きなお金も動いてるし、システム化されているほうが向こうも安全だしね。

---とはいえ、まだ康さんが活躍する可能性は残されていますか?

康 もちろんありますよ。たとえば世界的なスポーツ選手がいたとして、電通系のプロダクションが、マネジメントをすぐに押さえ込むんですよ。僕がその人を押さえ込むには、電通はお金で来てるから、選手との信頼関係を築くかスキャンダルをつかむかしかないわけ。そうすれば表向きは電通の仕事をして、裏では僕が主導権を握って試合をやらせることだってできる。スキャンダルが表に出たら興行はぶっとぶから、実際、表向きはプロダクション契約していても、裏では個人に利権を握られてるスポーツ選手も多々いるんですよ。こっちも税務署がうるさいから、イチイチ表に出さない。

ーーー個人で大きな興行をする際に、身の危険を感じたことは?

康 アリを日本に呼んだ時は、テキサスとかロスに、アリの興行を待ってるプロモーターがたくさんいるわけですよ。だから、アリのマネージャーをたらし込んで日本に連れてきたんだけど、ほかのプロモーターを押しのけてやるからには覚悟しましたね。一番怖いのは向こうのマフィア。だってあいつら問答無用でいきなり撃ってくるから。

ーーー最後に、康さんがロマンを感じられるような興行は、いま難しいでしょうか?

康 いまは難しいね。そういえば、最近、猪木君が「金正日と亀田(興毅)を戦わせろ」って言ってたな。半分ジョークだと思うけどね(笑)。

・・・了