勝新太郎追悼座談会
康芳夫(メディア・ミックス全権プロデュサー)×湯浅学(勝新太郎原理主義者)×藤本友徳(KANOXディレクター)×太田敬一郎(元EPIC SONYディレクター)
太田 ある日僕が会いに行ったら、色紙に句を書いてて「これを読め」って言うんですよ。<道にはずれて咲いている浮世の花は まわり花>(笑)。
藤本 で雅号が「古華院」ね(笑)。なんだ全然懲りてないじゃんて思ったんだけど、それもあの人なりの楽しませ方なんですよね。パクられたことも全てネタにしていく。横文字で言えばユーモア、日本的なオツな感覚がある。
康 江戸っ子ですからね。そういう余裕があるんですよ。ああいう、三味線の大家の家庭で育って、後に京都行って玉緒ちゃんと一緒になったというのが、彼の性格やセンスを形成する上で、とても大きかったと思うんですよね。玉緒ちゃんのお父さんの中村鴈治郎さんの存在も大きい。もし東京の女と結婚していたら、あの味は出なかったと思うな。実に上手く調和したんだよね。そのへん、関西文化と絶妙に融合した谷崎潤一郎と相通ずるところもあるよ。
藤本 江戸文化と京文化が家庭の中で融合しちゃったんですよね。だから勝新太郎自身の喋りも、どこかで変化したと思いますよ。それまでは多分、関東の落語の喋りだったと思います。
・・・次号更新に続く