戦後の文学界に衝撃 マゾの奇書「家畜人ヤプー」覆面作家は高裁判事 東大卒のエリート

昭和四十四年

『ぜひ、あれを見つけ給え。あれこそは戦後最大の傑作だよ。マゾヒズムの極致を描いたまったく恐ろしい小説だ。出版する価値のある本だ』

そう三島由紀夫は小生に熱を込めて家畜人ヤプーの内容を語りつづけた。

康芳夫、三島由紀夫を語る(11)

三島のあの事件に関して、中曽根元総理をはじめとして「あれは精神的に発狂状態にあったから」という人間がいるけど、それはああいうことをやれなかった連中の言い訳でね、あれは仮に発狂状態にあってもなかなかできることじゃない。社会的名声とか、全部を獲得した人間がそれに飽きちゃった末の退屈しのぎをしたということ。だから、それはやっぱりひがみなんです。精神的に異常な状態であの事件をおこしたというのが、何の説明にもならないというのは事実だよね。当時中曽根元総理が「あれはキチガイじみた行為だ」ってものすごく非難して、それは一般的な考え方を代表しているといえばしてるけど、中曽根は元々右翼で、いわば右翼的市民原理の代表的意見とも言える。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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