最強対談:沼正三 VS 団鬼六(STUDIO VOICE Vol.267 MARCH 1998より)

最強対談:沼正三 VS 団鬼六(STUDIO VOICE Vol.267 MARCH 1998より)

最強対談:沼正三 VS 団鬼六 スーパーバイザー・沼正三全権プロデューサー / 康芳夫・・・1

最強対談:沼正三 VS 団鬼六(STUDIO VOICE Vol.267 MARCH 1998より)

Mの巨人とSの巨匠が今、かつてない邂逅を果たす!

康 今日は両巨頭の対談を。

沼 君はねえ、対談になるだろうかって思ってるんだろ。

康 (笑)いや、なりますよ。

沼 全く水と油っていう。接点がどこにあるんだろう。

団 接点はねえ、確かにちょっと。

---いやらしさというものは一体何だろうかというようなお話を

沼 いやらしさ?

団 あなたの方がいやらしいと思うよ、俺は。

---多分お二人ともお互いにそう思っていらっしゃるんじゃないかと。

団 (笑)いや、だけどね、自分がSだけだったらやっぱり書けないですよ。Mにもならないと駄目です。女の言葉で「あら、いやだわ」とかね、同じ言葉で書かないと出てきません、ああいうのは。だから結局Sは男性的で攻撃的だとすると、そればっか書くから面白くないです。そうして小説ってできるもんですよ。Mの場合は僕は分かりませんけど。

沼 僕はあれですね、本当は人間生きてく限り総なべてSという基盤が確固としてあって。生きてる以上は生き物を喰っとるわけですよ、それでもって命を繋いで犠牲にしてる限り、そのこと自体がもう既にSであるという大枠を言ってるんですがね。だから、男性のSと女性のSと二種類のSがあるんと思うんです。女性のSを何らかの方法で挑発するというか、きっかけを与えて、女性Sを際だたせるというか、そういうことに血道を上げてるのは同じSだと思うんですね。マゾヒストは主役じゃなくて、女性のサディストが主役なんですよ。相手のサディズムを誘発しないと。

団 最近、女性もいいの出てきましたからね、Sが。MよりはSが美人なんですよ。統計的にね見ると。いい女やなあっていうとSなんですからね。

沼 女性のSは男のSよりも凄いですよ、本当は。ベトナム戦争なんかの時にわかりましたよ、女の兵隊に捕まっちゃあならんと。女の軍隊に捕虜にされたらそれはもう髪の毛をジープに繋がれて引きずり回されたりね、男よりも残酷なことをやるんですよ。

団 うん。

沼 本質的には女の人ってのは月経の経血からお産という大事業、大股開きをお医者さんの前でやるようにですね、存外、血に慣れてるでしょ、だから残酷になるんです。

団 ただ、本格的なS女性っちゅうのは滅多にお目にかかれないよ、我々は。M女はたくさんいますよ、だいたい十人中の八人までMやと思ってますよ、観念的にね。セックスもそう。男が攻めで女が受け身という、そう思うでしょ。ところがS女がいたってことを知らなかったわけよ、はっきり。男のS、女のMっていうのは通常的なものだけど、S女はもっと高度。女がSで男がMっていう『ヤプー』のような小説はあんまり出てこないと思いますよ。見あたらないでしょ、あんまり。

・・・次回更新に続く

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『家畜人ヤプー倶楽部』 vol.3 Executive Producer 康芳夫

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