「覆面作家は高裁判事」東大卒のエリート:東京新聞(1982年(昭和57年)10月2日(土曜日))

「家畜人ヤプー完結版(ミリオン出版)」より---沼正三・・・6

細部で言えば、麟一郎と妹百合枝との近親相姦(インセスト)は直接話法で、もっとどぎつく書くのが腹案だった。雌畜蜂房(フエム・ハイヴ)は南極大飼育所(サウスポール・ヤプーナリ)に付設されていて、輓畜(ドラツグヤプー)の曳く三頭橇(トロイカ)に乗ったクララが銀鈴を鳴らして---「銀の鈴 雪舟のすずのねきけば・・・・・・」(ボオ『鈴鐸歌』日夏耿之介訳)---コラン博士を訪れる計画だったし、妖艶な<乙姫(プリンス・オツトー)>、性転換した放蕩皇子には竜宮城(ワタツミと Water-dome(ワタドム)、リュウクウと leucothea(リユーコテア)(海の女神))で直接会う筈だった。クララが青柱(ブルーピラー)経由で邪蛮を覆面訪問し、愛国党首から足先に接吻されて、文化人の心裏の排外=拝外コンプレックスを体験する場面も予定されていた。

・・・次号更新【「家畜人ヤプー完結版(ミリオン出版)」より---沼正三】に続く

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