滅亡のシナリオ:ラングーンのテロ事件は予言されていた!

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著) 精神科医 川尻徹

滅亡のシナリオ(6)

いまも着々と進む1999年への道

これが、”麻原オウム”幹部必読の教科書だ!

1章 いま明かされる”ノストラダムス計画”
---第二次世界大戦は”ヒトラーの第四帝国”建設への布石だった!

◆ラングーンのテロ事件は予言されていた!

「きみはデジャ・ビュ---既視(きし)現象というのを体験したことがあるかね?」

「初めて見る光景なのに、以前、それを見たような気がする---というやつですね。ええ、何度かあります」

「分裂病患者は、ふつうの人よりもそれを頻繁に体験するんだ。そこで、この既視という現象を錯覚だとかたづけないで、素直に受け取ってみたらどうだろう?」

「その人が、以前に、本当に何らかの形でその場所を見た---と考えるわけですね」

「そうだ。そうすると、これは一種の未来透視だ。予知能力の現われだ」

「なるほど」

「本来、そういった予知能力というのは、誰にでも具(そな)わっているのだと思う。デジャ・ビュはその名残(なご)りだろう。しかし、なかには特に優(すぐ)れた能力を保持している人たちがいた。それが預言者と言われる人たちだ。中でもノストラダムスの能力は抜群だった。やはり予知能力の研究をすると、どうしてもノストラダムスを避けることができない」

そこで、川尻博士は、デスクの上のヘンリー・ロバーツ著『諸世紀---ノストラダムス大予言原典』(たま出版刊)を取りあげて、あるページを示した。

「たとえば、この詩を読んでごらん」

博士が指し示したのは、第一章五七番だ。

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不気味にトランペットが鳴り響く時

民衆はそれぞれ頭と顔を天に向け

血まみれの口は血の中でもがくだろう

顔を乳や蜜で聖別された太陽に向けて

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「これは何を意味しているのですか・・・・・・?」

中田は首を捻(ひね)った。

ノストラダムスの詩は、意図的に象徴的な単語、暗喩(あんゆ)、発音や綴(つづ)りの転換からなる固有名詞を組み合わせて作られている。しかも、一つの詩の中に複数の予言が含まれていることもしばしばなので、余計に意味が掴(つか)めないことが多い。

「確かにノストラダムスの詩は、予言を暗号化したようなものだ。しかし、この詩はその中でも比較的分かりやすい。というのは、つい最近起こった事件の予言だからだ」

「というと・・・・・・?」

川尻博士は、ギョロッと目を剥(む)いた。

「中田君。これはラングーンのテロ事件だよ」

「あっ!」

中田は思い当たった。

一九八三年一〇月九日、ビルマを訪問中の、韓国の全斗換(ぜんとかん)大統領を狙った爆弾テロ事件が、ラングーンにある無名戦士の墓で起きた。墓廟(ぼびよう)に全(ぜん)大統領が到着した時、トランペットの音を合図にしたかのように、廟の天井に取りつけられた爆弾が爆発したのだ。大統領は危機一髪、難を逃れたが、随行した閣僚四名を含む一七人が死亡、多数の負傷者が出た。

「こ、このとおりに爆弾が破裂したではないですか!」

・・・・・・・・・次号更新【ヒトラーは予言が的中するように行動した!?】に続く

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