ネッシー捜し湖畔に到着:朝日新聞 朝刊(9/10)

ネッシー捜し湖畔に到着:朝日新聞 朝刊(9/10)

7日、ネッシーさがしのためスコットランド入りし、ネス湖岸を下検分する探索隊のメンバー = AP

十一人のサムライ(2)

吉田クンはこの計画の当初から、私の片腕となって協力してくれていた人物である。伊藤則美さんは、高名なカメラマン、水中写真研究所長。その水中撮影技術には定評があり、とくにお願いして参加してもらった。

潜水隊長の杉内クン。彼も変わっている。武蔵工大経営工学科卒。大学時代は山岳部に属し、もっぱら山に登っていた。大学四年の夏休み、卒論のテーマのため、ある大企業でアルバイトをしたことで彼のコースが変わった。

「毎朝のラッシュ電車にもまれる苦痛、時間に拘束される苦痛をイヤというほど味わされ、就職する気をなくしちゃったんです」

そこで卒業後、渋谷で小さな運道具店を始めたが、店主が山ばかり登っているので二年で倒産。その後、潜水のとりこになって、青山にマリン・キャパという潜水指導の会を始めたという豪の者である。

私は彼に、いい意味での現代青年、夢と行動力を兼ね備えた青年を見、手伝ってもらうことに決めた。

馬場クンはルポライター。マスコミという巨大な機構に組み込まれたくないというフリー・ランスでやっている男だ。彼の物事を見る視点のユニークさを、私はかった。

須藤友子クンは、仙台のクラブで歌っていた歌手。新聞広告を見て、矢もタテもたまらず飛んで来た。潜水テストにも耐え抜いた。仙台には婚約者がおり、大反対だったが、強引に振り切って来たという。「彼よりネッシーの方が魅力的」なんだそうだ。

だが、何といっても、隊員中、いちばんの変わりダネは加藤多喜子クンだろう。オシドリ議員としても有名な加藤勘十、シズエ夫妻の一人娘。アメリカの大学を出てタイムの記者をしていたこともある。青山音楽事務所副社長時代には、あのジャネット・リンを日本に呼びCFに出演させたこともある。この探索のために、副社長のイスも投げ打った情熱の持ち主で、その語学力は、絶対に欠かせない。事実、今度の探索では彼女の語学力に負うところが大きかった。

それにしても、よくこう、サムライが集まったものだ。

他に、私は、例の『ネス湖の怪獣』の著者・ティム・ディンズデールを特別顧問に委嘱しておいた。そして、現地で三人の英・米人隊員も参加させることに決めた。

万一、地元でモメるようなことがあった場合のショック・アブソーバーにしようという深慮遠謀だった。

・・・十一人のサムライ:了