勝新太郎追悼座談会

勝新太郎追悼座談会(STUDIO VOICE MARCH 2007 VOL.375 より)

勝新太郎追悼座談会(STUDIO VOICE MARCH 2007 VOL.375 より)

康芳夫(メディア・ミックス全権プロデュサー)×湯浅学(勝新太郎原理主義者)×藤本友徳(KANOXディレクター)×太田敬一郎(元EPIC SONYディレクター)

康 玉緒ちゃんとの結婚は、彼の性格に非常にアーティスティックなニュアンスをつけ加えたと思いますよ。大げさに言えば文化融合だよ。あっという間に玉緒ちゃんをさらってって、勝負は最初についちゃってたわけで。

藤本 ほんと、スピーディに動く人でしたもんね。常に「気」が出ているから、こっちがボーっとしていると絶対にだめなんです。

ーーー「気」っていうのは、湯浅さんの日頃掲げてる《勝新太郎原理主義》とも深く関わってくるんじゃないですか。

湯浅 というよりもまず、俺の場合は全部肯定するところから始めてるから。だいたい勝新太郎を批判するっていうのはナンセンスなんですよ。意味がない。批判できるような素養なんてみんな持ってないわけだし。万物を受け入れてそれぞれに出してゆくってことをやってる人を象徴的に《勝新太郎原理主義》者って言っている側面もある。その話を先生にすると、「俺は何やってもいいんだな」って言うから「そうです」って答えると、「じゃあ間違えてもいいんだな」と。「だって間違いはないじゃないですか」と言うと「そういえば、そうだな」って(笑)。まあ我々同盟の活動ってのは、あらゆる人を肯定することから始めないと何もできないですから。あと先生が最期の頃に言ってたのは「お前たちの河に俺という船を乗せてくれ」ってこと。それで新しいことをしょうじゃないかと。

康 まあマスコミでは色々書かれたけど、僕の知ってる限りではカッちゃんを恨んでる人はいないんじゃないかな。彼と関わって楽しくないのは、金返してもらえなかった連中だけだろう(笑)。玉緒ちゃんがかぶってしまった部分が一杯あるのは可哀想だけど、お父ちゃんのためならって玉緒ちゃんも納得してるから、いいんじゃないですかね。

湯浅 資本原理がないですからね。

藤本 人を喜はせたいだけなんですよね。

・・・了