『ノアの方舟』の漂着地 新説裏付けへ調査隊:中日新聞(1987年1月13日 )
旧約聖書に登場する「ノアの方舟」の発見を目指す「バイブルランド国際調査委員会」(康芳夫代表)は、アメリカの元宇宙飛行士ジェームス・アーウィン氏を最高顧問にした調査隊を遅くとも五月末までにイラクとシリアの国境付近に派遣することを十二日午後、東京・赤坂の東京全日空ホテルで明らかにした。
調査隊は約十人で編成、シリアと隣のイラク国内のユーフラテス川流域でアメリカの資源探査衛星「ランドサット」の写真や地下探査レーダーなど利用した発掘調査を行う。期間は約五年。調査費は四億−五億円で日本のコンピューター会社が負担する。
アーウィン氏は、一九七一年にアポロ15号で月面に着陸した元宇宙飛行士で、現在は宣教師。旧約聖書に出てくる方舟の記述の真実性を確かめるため、これまで五回、独自に現地で調査を行っている。
方舟の漂着地点は、これまで旧約聖書にあるトルコ、ソ連国境付近のアララト山が定説になっているが、旧約聖書の成立より千五百年前の粘土板には「ニシル山」とある。同委員会は、過去の文献の調査から「ニシル山」の方が正しいと判断。この「ニシル山」は特定の山ではなく、イラクとシリアのユーフラテス川流域の丘陵地帯を指すとみて、この一帯を探す。