虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日スポーツ(昭和52年1月6日)より抜粋

あくまでやるぜ 康氏が宣言
康氏によると、ショーは二月五日、南米ハイチのサッカースタジアムで行う予定で、使われる虎は、インド・ベンガルで捕えた体重百七十キロの人喰い虎。一頭千ドル(三十万円)するものを二頭用意してあるという。

虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日新聞(昭和52年1月6日 木曜日)

虎と空手武道家の死闘ショー(12):特注フェンスのリング

準備は着々と進んでいった。山元守も日本から意気揚々とハイチ入りした。そして対戦相手のトラも、パリ経由でハイチに入国してきた。このトラは日本で一◯◯万円で購入したトラだ。アメリカでは法律でトラが入国できず、東京からパリ経由で運んできたのだ。

貨物機はハイチの空港に朝四時頃到着したが、金網で囲っただけの簡素な空港周辺には現地の住民たちが黒山のように群がっていた。おそらく、ハイチ建国以来といってもいいこの一大イベントが地元ハイチのテレビやラジオ、新聞で連日報道され、住民たちは興奮状態になっていたのだ。五◯◯◯人くらいはいただろうか。プロペラの輸送機からクレーンで降ろされたトラを見て、群衆がいっせいに「おー」と声をあげる。ハイチでトラを見るのははじめてなのだ。この異様な雰囲気にトラも高揚して、檻の中で「ガオー」と吠える。群衆もトラもまるで一体化したような興奮状態だ。警官が必死に群衆を排除する。こんな光景も東映のカメラマンは逐一、フィルムにとらえていた。

・・・虎と空手武道家の死闘ショー:続く