マスコミの連中から毎回、同じ質問を浴びせられるのだ。
「何でこんなことするんですか?」と。
虎と空手武道家の死闘ショー(10):極真ネットワークで会場さがし
ハイチとはカリブ海、西インド諸島のイスパニオラ島の西三分の一を占める旧仏領共和国。ドミニカ共和国と隣接し、一八◯四年カリブ海で最初に誕生した独立国であり、世界最初の黒人の共和国としても知られている。労働人口の七◯パーセントが農業に従事している典型的な農業国だ。主なな農産物はコーヒー、砂糖、バナナ、サイザル麻、綿花、タバコなどで、このうちコーヒーの輸出額は全体の五◯パーセントに達している。しかし、ひとりあたりの年間所得が三◯◯ドル以下という、ラテン・アメリカではもっとも低水準の国であり、職を求めて合衆国、ドミニカ共和国などへの出国者は後を絶たない。当時ハイチでは、デュバリエ二世大統領の独裁制が維持されて、国民は貧困に苦しんでいた。いまでも一五歳以上で九◯パーセントを超える、世界でも最高の非識字人口をかかえる国である。
このハイチ共和国にも極真会の支部があり、軍関係者や警察関係者に空手を教えていた。そのルートでついにハイチ政府の許可をとりつけたのだ。よし、と小躍りした私は、そのハイチ人支部長と連絡をとり、さっそくハイチの首都、ポルトー・プランスにアメリカ経由で飛んだ。
・・・虎と空手武道家の死闘ショー:続く
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虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日スポーツ(昭和52年1月6日)
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