康芳夫

「なあんだ、幻か。だったら怖くないじゃん」PeOPLe 室井佑月・・・週刊ポスト(1999・3・26)

康さん、こんなところで何してんの?謎の入れ墨女って?あんた、伊藤ちんじゃん。康さんの新しいガールフレンドじゃん(ホントか?)。ったく、いつも派手ですなあ。

康さんから「愛しの君よ」と電話が来なくなって、半年がたちます(飲み屋からの意味不明な電話ならあるけど)。ちょっと寂しいです。康さんはあたしのこと、愛してるとばかり思ってたのに。あたしに夢中かと思ってたのに。でも、そんなことはどうでもいいんです。あなたたちのデートに、あたしを呼び出すのはやめてね。

康さんとはある酒場で出会いました。あたしはすぐにその筋の人間だと直感しました。顔が怖いし、エバってるし。店の人に尋ねました。

「あの人、何してる人?」

「知りません。でも、やくざじゃないです」

それからなんとなく康さんと友達になって、もう1年になります。今ではいちばんなんでも話せる友達です。仕事のことも、恋愛のことも。あんまり優しいのでつい、「寂しいの」と抱きついてしまいそうになります。しかし、友達のままのほうがいいのかもしれません。あたしは康さんが何者かをいまだに知りませんし。

ほかの人たちもおなじようです。ある時、女の人から「康さんがどこにいるのか教えて欲しい」という電話がありました。あたしはいいました。「会いたいって強く思っていれば、ひょっこり現れるよ」。

みんなが康さんの噂をしています。いい噂も、悪い噂もあります。どれもが、漫画や映画や小説のように派手な話です。

あたしはたまに考えてしまいます。康さんはほんとうに存在しているのかと。じつは、みんなの頭の中にいつ幻の人、こういう人がいれば面白いのにと想像するだけの人、、なんじゃないかと。だから、いつも、どんなときにも、あたしがいちばん欲しい言葉を知ってるんでしょ、ねえ、康さん。

それはそうと、ポストの歴代編集長を脅してるって噂、あれ、ほんとなの?