わが人生を振り返る(第八回一水会フォーラム 講演録)3:月刊レコンキスタ 平成13年3月1日より
木村 鈴木さんは、森田さんの自裁に衝撃を受けたほうだけど。
康 三島と森田君の、どっちがどっちを引っ張ったのかというのは面白い問題だね。阿部君は決起部隊から省かれて、それがコンプレックスになってたみたいで、よく酒を飲みながら泣いてたよ。何故あの五人が選ばれたのか、今もって結論は出ないね。
鈴木 僕も色々取材したけど、それが分からない。
木村 阿部さんは憲法草案を作るように命じられていて、それを後世に残していく為に省かれたのでは。
康 阿部君ほ酒ばっかり飲んでいたけど、楯の会では一番文学的だったね。
鈴木 彼は優秀で素養があった。・・・それにしても、なんで「新宿の天皇」なんですか。
康 当時から、毎晩飲んだくれだったからかな?新宿には埴谷雄高、武田泰淳、野間宏とかの錚々たる連中が来てたけど、今はみんな均質化しちゃってるからね。
木村 こいつは個性が強かったなあという人は。
康 一番重量感があったのは野間さんだね。人間の全体を見ている、深い人だった。彼には教えられたね。
・・・次号更新に続く