”師匠”神彰がライバルとして出現

虚業家宣言:康芳夫

それから、私のお百度詣りが始まった。

毎朝、目が覚めると私はハーバートの事務所に出かけていく。実弾を装填したガードマンの間を通るのは何度やってもイヤなものだった。

私は、ハーバートにあることないこと吹きまくった。吹くのは私のお手のものではないか。

「もう一度、来日すれば、日本の女をパーマネントに世話する。とくに、前回来日したときの『ニュー・ラテン・クォーター』のA子は、ユーを恋いこがれている。彼女のためにもぜひ来てほしい」

「アリの試合が実現したら、その収益の一部を割いて日本にモスレム教会を建てる。私は日本の政財界との関係も深いから、十分な寄付も期待できる。モスレムの同志として、日本にモスレム教会を建てる手助けに来てほしい」

そして、時間の許す限り、私はクレイと行動を共にすることにした。ある筋を通して、かつての師ともいうべき神さんが、今やライバルとしてクレイの招聰に乗り出してきたということを耳にしたからである。その下で働いていただけに、私は”呼び屋”神さんの力を十分知っていた。

容易ならざる敵が出現した。それが私の正直な感想であった。

一口にクレイに密着するというが、これは口では言い表わせないほど困難を伴う。前に書いたようにクレイの回りには常に各国のプロモーターが押しかけている。彼らに雇われたマフィアの連中が隠し持った銃で、互いに牽制し合っている。

そして彼らからクレイを守るたあの武装した二十名の専属ボディ・ガード。ボディ・ガードから買収しようと思ったこともあったが、それを見越して、クレイのボディ・ガードはしょっ中変わる。

ヘタに近づこうものなら隠し持った拳銃をお見舞いされかねない。ニューヨークのマフィアは金さえもらえば、人殺しなどいっこう気にしない連中ぼかりなのだ。

だが、私は私の唯一の武器である強引さをフルに利用し、クレイを放さなかったのである。

・・・・・・次号更新【クレイの詩】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

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