正統なる虚業家 康芳夫(6):アリ vs 猪木戦のルールはアリが決めた!?

正統なる虚業家 康芳夫:実話 裏歴史 SPECIAL VOL.8(2011.12.05)より

正統なる虚業家 康芳夫:実話 裏歴史 SPECIAL VOL.8(2011.12.05)より

「猪木君の名誉のためにも言うとね。彼は本気なんだよ。なぜ、本気かというと、プロレスの地位を向上させたいから。だから僕は猪木君のビデオをアリ側に見せた。そうしたら腰抜かしてね。あんまりに猪木君が強いんで(笑)ここで、彼らもね、完全に態度が変わってきた。辞めると。特にトレーナーがそれを強く主張した。試合をやれば、必ずケガをするってね。でも、マネージャーとか弁護士は金になるし、適当にやらしておけばいいんじゃないかと。そんで、問題になったのがあの(がんじがらめの)ルールですよ。結局、ルールがあの試合を決めたんです」

いまや伝説のガチンコとも言われる、アリ×猪木戦。その裏側にはこんなエピソードもあったのだ。しかし、である。この康氏のプロモートに対する熱い原動力はどこから生まれてくるのか?「ビジネス」の一言だけでは、到底、常人には理解出来ない。

「僕の原動力?世の中あまりにも、平凡だからね。退屈しのぎだな。もちろん、一か八かお金を儲けたいという気持ちはある。でも、平凡な状況に耐えられないんだよ。それと(仕掛けた)話が拡大していくことに、一種の快感を覚えるのは確か。麻薬を打って刺激が高まっていく・・・みたいな。僕は麻薬をやったことはないけどね(笑)想橡としてね。だから、バカバカしいことだって楽しい、ネッシー探検隊やオリバーくんなどの仕掛けもそう。いまもあっと言わせることを練っていますよ。奇想天外、というより奇想天外外ね(笑)」

そう語る康氏は瓢々とも見えたし、より一層妖しくも見えた。

確かに、退屈な世の中ではある。筆者が1977年、日本武道館で感じた夢を、また感じることが出来るなら・・・氏のイリュージョンのなかに、目を閉ざしてまどろむのもいいかもしれない。

・・・了