正統なる虚業家 康芳夫(3):一晩12万円のプラチナチケットのカラクリ

正統なる虚業家 康芳夫:実話 裏歴史 SPECIAL VOL.8(2011.12.05)より

正統なる虚業家 康芳夫:実話 裏歴史 SPECIAL VOL.8(2011.12.05)より

「児玉誉士夫(行年・82)が経営していたラテンクォーターというクラブでの公演で、一席、12万円の値段をつけた。それが、海外で報道されてね。高すぎる!キャンセルすると。イメージもあるんだろうけど。まあ、ラスベガスなら当時、20ドル~40ドルくらいだからね。でも、元々のギャラが高いんだからしょうがない。そこで、いくらのギャラなのかバラすというやりとりをした後、僕は彼らにとって、致命的な手を打った」

致命的な手・・・それはまさに禁じ手とも、妙手とも言える一手だった。

「僕の弁護士、ロバート・アラムを通じて、ロンドンの司法、高等裁判所に仮処分を申請する、と。つまり係争中の事件が解決するまで、パスポートをピックアップしてくれと。急所をついたワケだ。なぜなら、ヤツら、その翌週にはラスベガスにいかなくちゃいけない。ショーのためにね。それで、和解にもっていった」

天下のトム・ジョーンズもラスベガスのショーを袖にするワケにはいかない。康氏は多くを語らないが、これまでの話の経緯から類推すれば、是が非でもいかなければならない「理由」があるのだろう。ともあれ、康氏のタフなネゴシエートもあり、無事、トム・ジョーンズは日本の地を踏むこととなる。高額過ぎると言われたラテンクォーターのチケットだが、いざ当日になれば各界の名士などで満席となった。ちなみに、客の顔ぶれのなかには、石原慎太郎、裕次郎兄弟、勝新太郎、堤義明・・・等々、大物がズラリと顔を揃えた。この公演が如何に注目されていたかの証左でもあろう。

・・・次号更新に続く