磯(崎)さんは、その世界の中であらゆる意味で非常に優れた思想、知識、影響力を持って、世界の建築家に影響を与え続けている
『ビオクラシー 福島に、すでにある』より小生インタビュー抜粋
―以前、磯崎新さんへの畏敬の念について話されていました。
康 もちろんリスペクトしてますが、それも僕と同じレベルの中で、上ということではなくて。磯(崎)さんは、その世界の中であらゆる意味で非常に優れた思想、知識、影響力を持って、世界の建築家に影響を与え続けている。安藤(忠雄)君を東大に引っ張ったなんてのは細かい話で、僕の人生の中でも非常に重要な要素の人ではありますけど、「畏敬の念」とは違うんだ。非常に多くのことを彼から学びましたし、今でも多くのことを教えられています。
つけ加えると、僕の思想を形成する上で多くのヒントを与えてくれたのは、故森本和夫。僕の東大時代の仏語の先生で、最後にはサルトルの実存主義とマルクス主義の両方を超越して、「禅の坊主」になってしまった。
―アリは?
康 彼は極めて特異な人物だと思っています。極めて、特異。彼は今病気になっちゃって、往年の姿の見る影もないくらいで、時々オレも夢に見るくらい、その都度色んな意味で追い込まれちゃって。
あの英雄がああいう状態になるとは、これもある意味時々刻々というか、時間ですよね。アリは極めて特殊な、口では説明しようがない、得難いキャラクターだとは思っているけど、オレがそれに根本的に左右されるということはない。ただ、色々な意味で感じることは常にあります。
―康さんが大学卒業後、石原慎太郎さんの紹介で入られた「アートライフ」社長、有吉佐和子さんの夫でもあった神彰さんは?
康 神さんも非常に面白い人で、色んな意味で教えられました。でも学んだのは仕事の上でのことで、まあ僕は彼の実態は全部知ってるしね。
ただね、一つ言えることは、「誰も尊敬する人がいない」ということはある意味で寂しいんだよ。オレが人生の最終責任者だから。つまり、スフィンクスみたいに全世界を睥睨していて、それは今でも本当にそう思ってる。
・・・以上、『ビオクラシー 福島に、すでにある』より抜粋