伝説の雑誌『血と薔薇』アーカイブス:黄泉(モルグ)からのオルグ/M・モンロー解裂:木下成人・・・1

血と薔薇 4号 1969.No.4 製作=康芳夫より

血と薔薇 4号 1969.No.4 製作=康芳夫より

かつて、生けるマリリン・モンロウは、豊饒神のごとくに、崇敬をさえこめて、下民どもの上に君臨した。悩ましげに春をよぶ姿態と、四六時中半びらきにした唇がいざないよせた、軟かい幻想。

まきちらしたものは、シャネル五番ではなくて、繁栄する社会の中で、失いつづけながらのしあがっていく美女の(或は美体の)安堵の吐息と、露骨な性戦争の裏側のうまき酒の匂いではなかったか。

これは華やいだ、もうひとつの、そして手の届きそうな世界を、あやすようにして小出しつづける金満家どもが、下民どもに示すひとつサイクルである。

マリリン・モンロウマも、下民である観衆も、与えられ、つくりあげられた幻影のもつ毒気にあてられたのだ、と解釈するのは、やはり幻影だと言わねばならない。

騒がしい出血の匂い。なまぐさい南風。

撚じきれる乳房。くだくだしくはねあがる、あのあまり秘密でもなさそうなちぢれっ毛。安香水と混じりあった肛門あたりの、油性の糞臭。

マリリン・モンロウの印象は、総じて、黒くて騒がしい。たまたま白い皮膚をひっかぶされて、泣き泣きやってきた哀れなアヒルさ。堕天使マリリン。そうは言ったとて、もとより、かあいそうなマリリン、ピエロのマリリン、ふうの見方にはくみしない。

スラムの娘が、スラム育ちふうの幻影に惹かれて、本性たがえず死んでいっただけのことだ。はなしは自然にできている。

・・・次号更新に続く