伝説の雑誌『血と薔薇』アーカイブス:黄泉(モルグ)からのオルグ/M・モンロー解裂:木下成人・・・3

血と薔薇 4号 1969.No.4 製作=康芳夫より

血と薔薇 4号 1969.No.4 製作=康芳夫より

魔利淋・悶哢比賣 解裂に関する諸註

悶比哢賣にかかわる解裂をなすにあたり、われ男具那は、左の諸註によって意のあるところを示した。

1. 魔利淋・悶比哢賣の魅力は、肉体にあるのではなく、たぐい稀なる優雅にしてつつましいその心情にあるとする、情念論的悶哢派に抗告する。

2. 現在では、死体愛好症が、たかだか散発する墓暴きに症例の脈絡がたどれるていのものである。

死体愛好症が、この時代では心情としてのそれにしか残存を許されないならば、死体愛好観念症として、より一層の深化を謀るを以てよしとしなければならない。

悶哢比賣臨終時、大衆がとった死体愛好症の発露は、全て架空の虹とあい等しい。

3. 悶哢比賣を解裂するにあたっての順も、また、ひとつの嗜好例となるであろう。

a. 頭髪よりはじめて、順次くだり、脚先にいたる。

b. なにがなんでもデルタより始めて、あとは単なる刺身のツマさ。

c. 恣意こそわが掟派。ヘソより始めて、耳にとび、内耳にポツンと黒子があって、どういうわけか腫れあがり、これが命とり、と新発見をするのもよかろう。

d. 脚先より始めて頭髪にいたる。aの裏のようであるが、そうではない。理由は後述する。

4. 悶哢比賣解裂にあたつての特殊例。

a. 局部局所の微妙な臭差を判別するためのみの解裂。一見没義道派のごとくであるが、そもそも解裂そのものが、没義道を真諦としているから、やはり解裂の正道をふんでいる。

b. 味覚のみに没入する、やはりまた別の正道派。もとより神妙に賞味するのが正しいが、かつての食人のごとく、別して呪術の世界にひたる必要はまったく認め難い。

c. 触感三派。

指先派。解裂した一片一片全てを、撫でさすり、まろばし、爪をたて・・・・・・別名前戯派。

義兄弟派。解裂するにあたり、てめえも少しは血を流して血盟の交りも慣行とする。別名血桜派。

亀触派。そのものずばり。解裂すればするだけ射精の数も増大する。もとより解裂した局部局所に亀頭が触れていなければならない。別名媚薬必要派。

・・・次号更新に続く