ロス五輪に割り込んだ”騒動師”康氏:スポーツニッポン(昭和57年8月4日)より抜粋

ロス五輪に割り込んだ”騒動師”康氏:スポーツニッポン(昭和57年8月4日)

儲けたお金は放つ

私にとって仕事はお金儲けではない。もちろん仕事や遊ぶためにそれなりのお金は必要だが、お金儲けだけを目的として仕事をしたことは一度もない。ただ自分の全知全能とありったけのエネルギーを情熱や夢を感じる対象に注ぎ込む。その結果がときに大金になったり、ときに大損をこいたりするだけのことなのだ。

だから、ラッキーにも大金を手にしたときは、蓄財などせずなるべく惜しげもなく散財してしまったりする。そうしないと前に進めなくなるような気がするのだ。つまり、どんなに成功を収めても大金を手にしても、いったんすべてをチャラにしてしまうのが私の流儀なのだ。

今の世の中を見渡してみても、面白い仕事をしているなとか、いい仕事をしているなと思われる人がひじょうに少なく感じるのは、やはりこんなところに原因があるのではないか。

お金が入ってきても思い切りよく使わない人にはお金が回ってこないし、またひとたび手にした成功を手放さない人はそこで頭打ちになってしまう。

お金というものはどんどん使えば、勝手に循環して自分のところにまた戻ってくるもの。お金にはそういう不思議な性質がある。

・・・以上、虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け (集英社新書)より抜粋