虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

一寸先は闇、の不安きわまりない世界。まさに一発勝負、大金を握ってディーラーと向かいあうような緊張感、体を張って生き残る独特の世界こそ「呼び屋」の醍醐味。

不透明な時代はブランドで戦え:虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け (集英社新書)より抜粋

今のような経済の先行きが見えない時代になると、私が明日も知れぬ虚業の世界を生き抜いてきたからのか、付き合いのある出版社や新聞社などのマスコミの人間は、「どうやこの不景気を闘えばいいんですかね?」といった質問をよくしてくる。私は商売のことにはさほど関心はないが、こういうところを押さえていればいいんじゃないかぐらいのことはアドバイスできる。

その一つはトム・ジョーンズの公演で私が駆使したブランド化戦略である。よほどひどい経済状況にさえならなければ、ブランド価値を構築しておくことは変化の激しい時代にあっては最低限の強味を発揮すると思う。

ところで、リーマンショック以降、世界的な景気減速でいわゆるファッションブランドは軒並み売上げが激減しているそうである。

しかし、これは単なる景気の影響だけではないようだ。ブランドとは本来、少量生産ゆえに特定の人たちにしか享受できないところにその価値が作り出されたものである。

ところが、多くのブランド企業は外部から資本を導入することで、新たな株主の要求に応えるべく売り上げ至上主義になっていかざるえなくなっている。その果てにグローバル資本主義の歯車に巻き込まれ、世界中の大衆に開かれたブランド商品としてあったという間にマス化を遂げてしまった。そうなると特定の層だけに限定されるという本来の意味でのブランド価値は維持できなくなってくる。

・・・以上、虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け (集英社新書)より抜粋