康芳夫

ルールのない世界へ加速度的になだれ込んでいかんとしている

目の前にあるこの世界は、秩序正しく形作られある程度すっきりとした見通しの立つ世界から、ルールのない世界へ加速度的になだれ込んでいかんとしている。しかしながら、我々の周囲に変わらずあるそこそこに健全で平凡な日常の姿を見れば、それは、はたして本当なのかという気もしてくる。でも、この日常を支えている地面の下では途方もない地殻変動が起こっていることは間違いない一〇〇年後、二〇〇年後に振り返ってみたときに今が大きな歴史の転換期であったことがきっと証明されると思う。

つまり、目下起こりつつある変動はこれまでの常識的な世界を一変させるだけの途方もないエネルギーを持っているわけだ。その事実をしかと受け止め、そこから目をそらさず生きていかなければいけない、そんな覚悟が我々には必要だと思う。

・・・以上、虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け (集英社新書)より抜粋