あの素晴らしきキワモノ 大金を投じたイベントから生まれることはない発想! 月本裕(作家)・・・1

あの素晴らしきキワモノ 大金を投じたイベントから生まれることはない発想! 月本裕(作家):SPA!(1991.11/27)より

昨今、スポーツイベントやらコンサートやらは、すべて大手広告代理店の仕切る冠付きになっしまい、必然的に面白くないものばかりが氾濫している。

昔は違ったよなあ、なんだか怪しいけどとてつもなく面白いイベントがあったじゃない。いったい何考えてんだろうというブッとびネタで、多額のお金とたくさんの人、そして組織を動かしてしまう、お騒がせイベント。代理店の仕切りでは出てこない、奇抜にして血の通ったアイデアがそこにはあった。ひとつの強烈なパーソナリティが仕掛けた、本質的に個性的なものが、それらのイベントにはしっかりと存在したのだ。

そのパーソナリティの中でも、とびきり危なく、怪しく、面白かったのは、謎の呼び屋、当代一の虚業家と呼ばれた康芳夫である。長髪とその特徴的で迫力のある容貌、東大卒の元不良、一度会うと誰もが忘れられなくなるこの男は、次から次へと東スポが泣いて喜ぶような事件を仕掛けてきた。

まず、アリ VS 猪木。例の猪木が仰向けに寝転がってアリのハードパンチを避ける奇策を用いたあの試合だ。ボクももちろんテレビにかじりついて見たが、これは世界中から注目され、全米でもテレビ中継された。

・・・次号更新に続く