私の畜化願望・・・・・・(1)
関心のあり方といえばもう一つ、同じ手紙に次のようなくだりもある。
<写真といえば、皆良いものでした(小生が送った数葉の写真を指す=森下註)。黒人を檻に入れようとする白人の女猛獣使いの絵、どうもまずい絵ですが、アイデアが良いので、よくとり出して見ています。しかし例の女二人に中に黒人のいる檻の絵(これは貴下はへーゲマンといわれるが、そうではありますまい)にはどうしても及びませんね。Q氏の、人犬にチンチンさせている絵は、前者に比べればずっと迫力があります、原画を見ているせいかも知れませんが。Q氏からお手紙がいただける由、ワクワクしていますが、白人女性が日本人又は黒人男性を玩弄している絵をもっと画いてもらえないものでしょうかね。氏には楽しみなのでしょうし、気持があるから、報酬目あての絵かきより仕事も良いし、原画はもし頂戴できぬ(兄が収蔵される)なら、私は引伸した写真でも結構なのです。犬にした絵はあるわけですから、あと、馬にした絵と便器(西洋便器風の腰掛応用で)にした絵とで三幅対にできないものかと思っています。Q氏自身の御写真はダメでしょうか。いつかの奥様のそれのように、いけなければ送り返しても良いので、一度見せていただけますまいか。クローズアップでなくても、犬や馬と共にする写真でも結構です>
文中、Q氏というのは私の姻戚にあたる英国系女性で、のちに沼正三のたっての希望により二人は文通を始める。ドリスという名のこの女性は多少画才があり、彼女の描いた絵を写真に撮って送ってやったら、それに感心するどころか、ドリス本人のポートレートまでねだってきたわけだ。
・・・次号更新【『諸君!』昭和58年(1983年)2月号:「家畜人ヤプー」事件 第三弾!沼正三からの手紙:森下小太郎・・・連載36】に続く