頬の”母斑”こそ実体ヒトラーの徴(1)
プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹
「一九四三年以降と推測される写真だ。年齢的には五〇代半ばだな」
「なんか、黙っていても迫力がありますね」
「そうだろう。この写真を見て病的なところはどこにも感じられない。意志が強く、しかも理論的にものごとをすすめる人間だ。おそらく、こういう人間の前に出たら、誰でも催眠術にかかったようになるのではないかな。それと、こいつは重大なことだが、頬にある”母斑”に注意してほしい」
「そういえば、大きなホクロですね」
「ホクロも母斑の一つではあるが、皮膚における限局性の奇形のことだ。ホクロなどは幼児期からあるが、ある年齢から目立ってくるものが多い。この母斑の場合は、かなり突出しているね」
「でも、前に見た写真の中には、こうハッキリ写っているものがありませんでしたよ」
「そうだ。これがフューラー------実体のヒトラーの徴なのだ。だから、後半、ヒトラーは右側から写真を撮影するのを禁止していたようだ。いや、写真そのものをあまり撮られないようにしていた。ダブルの存在を見破られると困るからだろうな」
「・・・・・・というと、これが実体のヒトラーだとすると、さっきはちょっと混乱したんですけど、ヒトラーのダブルは二人いたわけですか」
・・・・・・・・・次号更新【頬の”母斑”こそ実体ヒトラーの徴(2)】に続く