『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

ヒトラーの影武者(ダブル)さえ、ノストラダムスは予言していた(1)

実に理路整然とした川尻博士の論理だ。確かにヒトラーの伝記の中には、粗野で傲慢で抑制力のないヒトラーの描写が随所にある。ムッソリー二などは辟易して「ヒトラーは粗野で話題の乏しい男だ」と批評しているくらいだ。これは、多くの政治家、軍人、ジャーナリストなどを魅了して伸しあがってきたヒトラー像と矛盾する。

だが、相手が影武者役をつとめていたアロイスだとしたら、そういったヒトラー像が生まれた理由が理解できる。

川尻博士は、さらに言う。

「私は、落合信彦氏が南米で会った老女の写真をエバ・ブラウンだと認めた時から、ヒトラーは戦後まで生きていると確信した。自殺したと伝えられるエバが生きているなら、ヒトラーもまた生き延びたと考えるのが妥当だろう?そう思って資料を探索するうち、このアロイスニ世の写真に出くわしたのだ。これこそ、ヒトラーにダブルがいた証拠ではないか」

そこで博士は、ノストラダムスの予言詩集、『諸世紀』を採り上げた。

「中田君。これは私が、”ヒトラーのノストラダムス計画”に気がついてから発見したことなのだが、驚いたことに、ノストラダムスは第五章五番の詩でこのことを予言しているんだな」

第五章五番は次のような詩で、よく知られているものである。

・・・・・・・・・次号更新【ヒトラーの影武者さえ、ノストラダムスは予言していた(2)】に続く