戦後、二三年目に発表された”ヒトラーの死亡”(1)

『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

中田は、あらためてトーランドの『アドルフ・ヒトラー』に書かれている、ヒトラーの最後の様を読み直してみた。

---ヒトラーが最後の日々を過ごした、ベルリンの総統官邸の庭に作られた地下壕(バンカー)は巨大なものだった。トーランドによれば、厚さ三〇フィート(約一〇メートル)のコンクリートに覆われ、さらに一二フィートの頑丈な天井を張りめぐらし、内部は二層になっていた。上層には大広間と一二の小部屋があり、螺旋階段を下りると、そこは総統専用の地下壕で、ここには一八の小部屋があった。通信施設、自家発電装置はもとより、生活に必要な設備は全部そろっている巨大な地下要塞といっていい。

一九四五年四月二七日、ベルリンはソ連軍に完全包囲され、孤島と化した。しかし、ヒトラーは、周囲から脱出をすすめられても頑として聞き入れず、彼自身の後継者---大統領兼国防軍最高司令官にデーニッツ提督を指名、首相に宣伝相だったゲッベルスを、党大臣にボルマンを任命した後、エバ・ブラウンと結婚式を挙げた。挙式は四月二八日の真夜中であった。そして三〇日の午後三時すぎに自殺したわけである。

・・・・・・・・・次号更新【戦後、二三年目に発表された”ヒトラーの死亡”(2)】に続く