虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

父との離別、そして再会(1)

しかし、無罪判決に家族全員喜んだのもつかの間、父は突然、国民党により中国大陸に徴用されてしまう。戦後、すぐにはじまった国共内戦に国民党の医師として巻きこまれてしまったのだ。そして、私が小学校の六年生の時に帰ってくるまで、まったく音信が途絶えてしまうのだ。

生きているのか死んでしまったのかもわからない父の消息に、家族は半分あきらめてしまっていた。最初、あれこれ心配していた母も、あまり父親のことを話さなくなってしまった。

一九四六年からはじまった中国の国共内戦の様相は毎日、日本にも伝えられていた。小学校の高学年になっていた私も毎日、当時読んでいた朝日新聞に目を通していた。くわしい政治的事情はまだ把握していなかったが、刻一刻と変わる戦況を伝える地図はいまでもはっきりと憶えている。八路軍を率いる毛沢東が徐々に国民党の軍隊を追いつめていく。上海占領が一つのクライマックスで、その後の北京入城によって勝敗は決定的になる。その直前に蒋介石は台湾に逃げていく。そんな戦況を我々家族は息をのむような気持ちで、毎日毎日新聞に目を通しながら追っていた。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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レフェリー・アリ、呼び屋・康氏・・・役者ぞろい!!:東京中日スポーツ(昭和54年1月26日)

レフェリー・アリ、呼び屋・康氏・・・役者ぞろい!!:東京中日スポーツ(昭和54年1月26日)

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