『家畜人ヤプー』秘話-沼正三氏の死に際し:康芳夫(談話)・・・8【新潮(2009年2月より)】

『家畜人ヤプー』秘話-沼正三氏の死に際し:康芳夫(談話)・・・新潮(2009年2月)

『家畜人ヤプー』秘話-沼正三氏の死に際し:康芳夫(談話)・・・新潮(2009年2月)

『家畜人ヤプー』に関与した文学者は、三島由紀夫、澁澤龍彦、倉橋由美子、奥野健男、曽野綾子、イザヤ・ベンダサン・・・・・・錚々たる面々ですよ。今出ている幻冬舎の文庫でも島田雅彦君、高橋源一郎君や荒俣宏君が解説を書いている。これはすごいことで、日本の戦後文学で21世紀に残るものがいくつかあるとして、まちがいなく『家畜人ヤプー』もそこに含まれます。

仏訳はフランスでサド賞をとって、日本でも日仏翻訳文学賞を去年もらいました。あと、台湾でも中国語版が出てますよ。大陸で一千万部出てっるていう話もあるけど、地下出版だからわからない(笑)。英語版も契約しているんだけど、出版社が経営不振になってね。契約上、すぐに他の出版社からは出せないんですが、近いうちになんとかしますよ。今はロシア語とトルコ語の翻訳が進んでいます。だから無限増殖です。沼さんが亡くなった後も、僕は彼の全権代理人として、ますます『家畜人ヤプー』の歴史を複雑怪奇にしていきますよ。

(談話)

・・・了