”森下説”に真っ向から反論、真相は”ヤブの中”へ
倒錯した性の世界を描き、戦後文学界に大きな衝撃を与えたといわれる奇書「家畜人ヤプー」の作者は「沼正三」というペンネームだけで全くナゾに包まれていたが、二日発売の月刊誌「諸君!」(文芸春秋社)十一月号で、団体役員で作家の森下小太郎氏が、この作者を東京高裁の現職裁判官、倉田卓次氏(六O)であると指摘した。覆面作家とされた倉田氏は家人を通じて全面否定しているが、同誌では「沼氏」から届いた手紙などを証拠として論証している。一方、これまで同書の作者ではないかとみられていた新潮社校閲部の天野哲夫氏(五六)がこの日「私が書いた」”森下説”に真っ向から反論、真相は”ヤブの中”へ−−−。
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『諸君!』昭和57年(1982年)11月号:衝撃の新事実!三島由紀夫が絶賛した戦後の一大奇書『家畜人ヤプー』の覆面作家は東京高裁・倉田卓次判事
時間と空間を超えた一大叙事詩『家畜人ヤプー』の、謎に包まれてきた覆面作家、沼正三。三島由紀夫をして、”天才”と呼ばしめたこの作家の正体を、私はいま、東京高裁民事四号法廷の裁判長席に、二十六年ぶりに見い出した!
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