ブラック・ポルノグラフィー 家畜人ヤプー 沼 正三・・・『血と薔薇』1969年 No.4より(4)
第一章 空飛ぶ円盤の墜落
二 クララと麟一郎
「待て、クララ!!」
麟一郎は叫んだ。
「ぼくが先に入るよ。中に何があるかわからん、危険だ。服を着てくるまで待ってくれ」
「だってーーー」
クララは、わざとのように少しスネたふうにいった。
「待ってられないわ、すぐにでも見てみたいの」
彼女は好奇心が旺盛であった。彼が、待て、といっても、その間に一人で中に入ってしまうだろうことは目に見えている。
麟一郎は苦笑した。
「いいよ、今ぼくが入るから」
麟一郎とクララ、この二人の運命は、この時を境に一変することになる。麟一郎がもし上着でも着ていたら、というのは後になっての繰り言にしかすぎない。彼が裸であったばかりに、とんでもない運命が二人を巻き込むのである。しかし、この時の二人に、そのことが予知できょうはずはなかったのである。
・・・ブラック・ポルノグラフィー 家畜人ヤプー 沼 正三:『血と薔薇』1969年 No.4より
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今もなお、沼正三=倉田卓次説があるのは森下小太郎が、『諸君!』(82年11月号)に発表した〈三島由紀夫が絶讚した戦後の一大奇書『家畜人ヤプー』の覆面作家は東京高裁・倉田卓次判事〉と題した論考のせいである。 #家畜人ヤプー 全権代理人 #康芳夫 pic.twitter.com/HkGKFookde
— 家畜人ヤプー倶楽部 Executive Producer 康芳夫 (@yapoo_club) February 21, 2022
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